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[インタビュー]水中写真家×テクニカルダイビング  戸村裕行氏


●戸村裕行 さん経歴

1982年埼玉県出身。
世界の海中を巡り、大型海洋生物から小さな小さな生物まで、様々な海中景観を撮影し続けている水中写真家。生物の躍動感や色彩を意識したその作品は、ウェブやダイビング誌、カメラ誌などを中心に発表され、オリンパス株式会社の製品カタログなどにも採用。
また、ライフワークとして、第二次世界大戦(太平洋戦争・大東亜戦争)を起因とする海底に眠る日本の艦船や航空機などの撮影を世界各地で続けており、その取材内容はミリタリー専門誌「月刊丸」の人気コンテンツとして連載を続けている。執筆・講演など多数。
公式オフィシャルサイト
https://www.hiroyuki-tomura.com



●インタビュー

鐵本:テクニカルダイビングを始められたきっかけを教えてください。

戸村:2018年8月、マーシャル諸島、ビキニ環礁にて、戦艦長門の水中撮影が始めるきっかけでした。
そこは、アメリカが第二次世界大戦後に行った原爆実験の場所でその実験で軍艦などがいくつも沈んでおり、沈船を探検し歴史を感じることができるテクニカルダイバー憧れの地です。
ほとんどが水深50mクラスでした。



鐵本:いつもはどのような思いで水中撮影をされていますか?

戸村:レック撮影の際は、
”そのレック一番良いところを写真におさめたい” 
この気持ちが強いです。
大事なポイントは、ただ綺麗に撮るだけではなく、
”レックがなぜ海中で眠る事になり、今ここで何を物語っているのか”
ここを伝えたいという思いが強いです。

そして、自然や魚に対しては、
”優しい気持ちになろう”
ここに意識を向けています。
そうすると、自然や魚に受け入れてもらえるようになります。
その感覚を楽しみながら撮影しています。



鐵本:写真集(2020年8月発刊)『蒼海の碑銘ー海底の戦争遺産』の見どころをお知らせください。

戸村:10年にわたり世界各地に眠るレックを撮影し続けた写真集です。太平洋戦争で撃沈された多くの日本の艦船、潜水艦、航空機の他、ビキニ環礁で原爆実験の標的艦として最後を迎えた戦艦、「長門」、や米海軍の空母「サラトガ」独海軍の重巡洋艦「プリンツオイゲン」などが掲載されています。
レックのそれぞれの解説があり学ぶことができます。
75年前、当時どのような目的でつくられ、使われてきたのかをご覧いただきたいと思います。



鐵本:『テクニカルダイビングとレック撮影』に興味があるダイバーへお伝えしたい事はありますか?

戸村:”撮影テクニックを高めるには?”
ここを知りたいダイバーが多くいると思うのですが、
大事なポイントは、ダイビングスキルを軽視しないことです。

海外のダイビングスポットへ出向くと、着底禁止スポットが多くあります。
しかし、日本人ダイバーは着底スタイルが一般的になっているため、
中性浮力をとりながら水中撮影ができるという人が少ない気がします。

テクニカルダイビングを始めると、普段のダイビングでの意識がかわります。
ダイビングスキル、リスクマネージメント、アウェアネス、様々なことを見直すことができます。
もっと日本でもテクニカルダイビングに注目するダイバーが増えたらよいなと思います。



鐵本:テクニカルダイビングとレック撮影での将来のビジョンをおしえてください。

戸村:レックはやがて崩れていきます。いつまでもあるものではありません。

今後もTDIのテクニカルダイビングコースで、
より深度の深いレック撮影を行うことにチャレンジしていきたいと思います。

深く難しい環境であっても、テクニカルダイビングの教育を受け、トレーニングを続けていけば、
その場所を訪れるチャンスは巡ってくると思うのです。

そして、ダイバーであるならば、
そのレックを見に行くチャンスはあるのだということを伝えていきたいです。


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